2023.09.22
カテゴリ：安定剤
デパス®︎半分に割る
旭川市東光の心療内科
あおぞらクリニックの菊地です。
向精神薬の使用量が飛び抜けて少ない心療内科医です。
今日のお題は、
デパス®︎（一般名エチゾラム）を半分に割る。
です。
別格安定剤デパス®︎は半分に割ったとしても、その存在は別格です。
デパス®︎の0.5mg錠は割線と呼ばれる半分に割るためのガイドのラインが入っていないと記憶しています。
普通にやったら、半分にするのは骨が折れる形状かも知れません。
デパス®︎そのものではなかったのですが、薬を半分にする話題の時に、通院中の患者さんからＰＴＰごと刃物で切るという方法を教えてもらいました。
ＰＴＰというのは薬が入っているプラケースのことです。
昔は１錠ずつ切り離せたのですが、ＰＴＰごと飲み込んでしまう事故を防ぐために、今は切り離せないようになっています。
それでも何故だか綺麗にＰＴＰを１錠分ずつ切り離しちゃう患者さんもいらっしゃいまして、危険なんだよなと思ったりもしますが、今回はそっちの飲む前に切り離しちゃう話ではなくて、飲む時に薬ごと切っちゃう話です。
特に割線が入っていない薬や、デパス®︎のように粒が小さくて中央が盛り上がっている薬を半分に切るには安全で飛び散らないという点で大変優れています。
ＰＴＰのシートごと手で固定出来るので、作業がやりやすいですし、怪我をする可能性も激減。カットした後の薬はプラケースの中に留まるのでどこかに飛んで行って無くなる心配もありません。
プラケースごと豪快に切ってください。
薬は見た目よりも意外と柔らかくて、ハサミやカッターで容易に切ることが出来ます。
実際、薬剤師さんたちも、ハサミなどを使って手作業で錠剤を半分にしています。
作業の際は言うまでもなく、下にボードを敷いた方が机やテーブルを傷つけなくていいでしょう。
刃物の扱いにはくれぐれもご注意ください。
このやり方もそうですが、きっちり半分にはなかなかできません。
薬剤師さんがやっても、実は正確に半分にはなっていませんが、多少の誤差は問題にはなりません。
ですので、我々はそう神経質にならずになるべく半分になるように勇気を持って切ってみましょう。
切った後は、半分だけ出して、残りは次に使っていいのですが、薬剤にとっては出来た断面が不安定なので、長期の保存は避けましょう。
さて、
デパス®︎（一般名エチゾラム）は精神安定剤（抗不安薬）のなかでは飛び抜けて強いので、半分に割っても飛び抜けて強いです。
切れ味は半分にしても変わりませんが、半分にすればパワーは抑えられますし、依存も生じにくくなります。
デパス®︎が効きすぎる場合は、他のもっと弱い安定剤に変えることを検討すべきですが、一時しのぎのため患者さん自らが錠剤を割る場面は大いにあり得ます。
専用のピルカッターもありますが、すぐに手に入らないこともあるでしょうし、別な薬に切り替わって薬を半分にしなくてもよくなったら、専用の道具こそ持て余しますので、一時しのぎの際には特にＰＴＰごと真っぷたつ。これをお勧めします。
同業者に向けては、
もっと弱い安定剤として、マイルドに効くものに替えたいならワイパックス®︎やソラナックス®︎を。
切れ味は変えずパワーだけを減らすには、リーゼ®︎を推奨します。
デパス®︎を半分にするという行為は、リーゼ®︎に変更するということに、意味合いとしては一番似ています。
ご注意ください
かなり安全ですが、刃物を使うので怪我のないよう十分に気をつけてください。油断は禁物。
ボードを使わないと、その下の机やテーブルや畳などを傷つけるかもしれないので、必要とまでは言いませんがあった方が無難でしょう。あなたの自己判断でボードの類を使わないで何かあっても、当方は責任を負えません。悪しからず。
極めて安全な方法なので、太ももの上とかで切ったりしない限り正しいやり方で怪我をすることは稀だと思いますが、もし怪我をしても当方は責任を負えません。特に刃物やボードの側の問題によるトラブルはそれぞれのメーカーにご相談ください。
(2024.01.14.追記）
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デパス半分に割る
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