デパス®寝る前だけ

旭川市東光の心療内科

あおぞらクリニックの菊地です。

向精神薬の使用量が飛び抜けて少ない心療内科医です。

今日のお題は、

デパス®寝る前だけ。いったいどういうことでしょう?

デパス®(一般名エチゾラム)を寝る前にだけ使うというのは、ほぼ間違いなく睡眠薬としての役割を期待してのことです。

デパス®は実際睡眠薬として認められているのですが、他の睡眠薬と比べるとかなり異質です。

なぜなら、

デパス®は精神安定剤(抗不安薬)でもあるからです。

しかも、安定剤の中でも突出して強い薬なので、そんな薬がなに食わぬ顔で普通の睡眠薬と肩を並べて認可されているのは、かなり唐突な印象を抱きますし、疑問も感じます。

以前、本当は適応外だけれども現実には睡眠薬代わりに使われているリーゼ®について書きましたが、あれは同じ短期作用型の安定剤です。

リーゼ®の方が圧倒的に弱くて安全なくすりですが、普通の睡眠薬としては現在認められてはおらず、心身症に伴う不眠症にだけ使っていいと限定的に適応が認められているという状況です。

切れ味が鋭い短期作用型という点でリーゼ®︎と共通するデパス®ですが、作用が飛び抜けて強いのはリーゼ®︎と異なる特徴で、利点と言えるかもしれません。

しかし、副作用は出やすく、依存も生じやすく、離脱症状もきたしやすいなど、かなり扱いが難しいお薬です。

リーゼ®よりも危険なデパス®が、睡眠薬として認可された詳しい経緯は分かりません。

ただ、いま現在も睡眠薬として処方され続けているという現実が横たわっています。

おそらく今日も全国でたくさんの患者さんが、寝る前のデパス®を手にしたことでしょう。

本当に質が悪いのは、すぐに問題を起こすのではなく、後々依存や離脱症状で患者さんを苦しめることになるという点です。

もちろん依存も離脱症状も来さずに治る人も大勢いらっしゃるけれども、反対に苦しむ患者さんも少なからず生むのが、罪なところです。

現実を覆い隠すほうが、問題の解決を遠退けると思いますので書きますが、

睡眠薬として、

デパス®はものすごく効くのです。

でもそれは、最初だけ。割とすぐに最初ほどは効かなくなります。

使い始めの頃、たいそう効くので処方した医者は感謝されます。

特に、ひどい不眠に悩まされていたような患者さんにしてみれば、デパス®を処方する医者は神のように見えることでしょう。

医者も患者さんに感謝されるとまんざらでもない。

デパス®を処方しておけば、その患者さんはちゃんと通ってくれるのですから、経営上もかなり助かるでしょう。

医者と患者さんはデパス®︎を介して、短期間でズブズブの関係になってしまいます。

でもその蜜月の期間も長くは続きません。

デパス®は悲しいかな、次第に効かなくなることが多いものです。

結果、いずれデパス®の増量が行われ、それでも足りない時には他の安定剤が併用され始めます。

患者さんが勝手にオーバードーズし始めるのも、

デパス®に多い現象です。

睡眠薬は違法薬物に手を染める人のきっかけになる薬だとよく言われますが、主にそれはデパス®のことです。

デパス®こそが、睡眠薬から違法薬物に手を染めるルートにおけるゲートウェイドラッグなのです。

私は個人的には

デパス®を睡眠薬としては処方しません。

あおぞらクリニックで

デパス®を寝る前に処方されている患者さんは皆無です。

ちなみに現在当院で

デパス®を内服している患者さんはたったの4人しかいませんが、

全員他院からの紹介で、やむなく処方継続している方ばかりです。

あおぞらクリニック

旭川市東光9条6丁目1−13

東光9条5丁目バス停(あさでん)目の前
東光眼科となり
駐車場完備
東神楽東川美瑛深川からのアクセス良好】

電話
0166-33-8600 (平日9:30~12:30)

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