エチゾラムとデパス®︎の違い
旭川市東光の心療内科
あおぞらクリニックの菊地です。
向精神薬の使用量が飛び抜けて少ない心療内科医です。
今日のお題は、
エチゾラムとデパス®︎の違い。
デパス®︎は商品名ですね。
エチゾラムはデパス®︎の一般名。
物質の名前でもあります。
ワインはロマネ・コンティの一般名だけど、
ワイン≒ロマネ・コンティとは絶対にならない。
でも、
エチゾラム≒デパス®︎は成り立つ。
効き目も依存性も離脱症状に苦しむ人がいるのも、ほぼ一緒なんです。
だから、お題のありきたりな答えは「同じものです」とか「ほぼ同じものです」なのですが、深く掘り下げるとまた面白い世界が見えてきます。
…「価格が違います」があったか。デパス®の方が少し高いです。
処方薬は開発した1社〜多くて3社くらいが特許を取って先発品というのを先行販売出来る期間があって、そこで開発費などを回収しようと各社頑張ります。
特許を持っている会社がデパス®︎のような商品名を使うことができるのです。
その後、特許が切れたタイミングで、後発品(ジェネリック医薬品)を他の各社が造って売れるようになりますが、必ず先発品よりも安価です。
いまどきは、その際に薬効成分の物質名をそのまま後発品の名前にするのがあたりまえです。
デパス®︎の場合、それがエチゾラムなのですね。
以前は後発品でも、商標が登録されて独自の名前がついているのが当たり前の時代がありましたが、いまはわざわざそれらを物質名にせっせと改めるメーカーが多いです。
独自に商標を持つ後発品には、例えば有名な睡眠薬であるレンドルミン®︎の後発品としてグッドミン®︎というのがあったのですが、いまはブロチゾラム錠「ヨシトミ」に変更になりました。
ブロチゾラムが一般名で、ヨシトミっていうのは、会社の名前です。
グッドミン®︎はそのネーミングのグッドさから、非常に有名な後発品で売り上げも多かったと記憶していますが、現在は味気ない名前に変わってしまいましたので、きっと売り上げも大幅ダウンでしょう。
このように後発品でもネーミングひとつでヒットを飛ばせる時代は去り、自由で新しい闘いが幕開けのはずなのですが、ことデパス®︎については特殊な事情があって一筋縄ではいません。
守備範囲外なので、ほどほどにしておきますが、ウェブで調べると分かる通り、デパス®︎は闇で取引されています。
取引されているのはデパス®︎がほとんどで、後発品のエチゾラムでは、なかなか売れないのか安くて儲からないのか、とにかくデパス®︎が幅を利かせている業界が、この世のどこかにあるので、デパス®︎の売り上げはいまも右肩上がり。今後もその傾向は続くでしょう。
ちなみに、エチゾラム≒デパス®︎と書きました。後発品は微妙に効きが違うのでしょうが、政府は違いを強調はしません。医療費の抑制のためにも、後発品が先発品よりも効かないなどということになったら困るからでしょう。
しかし、同じでないのは疑いようもないのです。
実際に薬理学の授業でそのように習いました。
主成分の量が一緒なだけで、造り方がそれぞれバラバラなのですから当たり前です。
しかしどれも厚生労働省が認可しているものなので、一応あまりバラつきはないものと考えるようにはしています。どの医療者も大体そのように後発品と付き合っているのだと思います。
なかには、後発品の方が優れている場合すら、本当はあるはずです。
でもそれらは丸々、薄いベールで覆い隠されています。
まあ、実際大差ないから誰も大騒ぎしません。
興味深いのは、元に戻ってデパス®︎の特殊性です。
各社の後発品エチゾラムも、大体遜色ないのに、圧倒的にデパス®︎が人気。
デパス®︎の勢いは衰え知らずです。
そこでお題に対するディープな結論なのですが、
エチゾラムとデパス®︎の大きな違いは、その知名度です。
本当は後発品のなかに、依存の生じにくいメーカーとか、離脱症状が酷くないメーカーとか、あるかもしれないのに誰も追求しません。
私がやればいいって?いえいえ。
そんなこと追い求めるよりも、別格安定剤デパス®︎は扱いが難しいのだからもうこの辺にして、今後手を出さないようにする術を追求すべきですね。
私はそうしています。
あおぞらクリニック
旭川市東光9条6丁目1−13
東光9条5丁目バス停(あさでん)目の前
東光眼科となり
駐車場完備
【東神楽・東川・美瑛・深川からのアクセス良好】
電話
0166-33-8600 (平日9:30~12:30)