薬剤惹起性うつ病の治し方
向精神薬を自己判断で急にやめることは大変危険です。必ず主治医の先生と相談してください。
薬のせいでうつ病になった場合、
病名を薬剤惹起性うつ病と呼びます。
その治し方はとてもシンプルに、
原因薬剤をやめる!
といきたいところですが、
そんなに簡単にはいきません。
そもそも、なんらかの必要性があって服用しているからというのが、ひとつの理由ですが、
単純にそのことだけでしたら、代わりのお薬をなんとか探し出すのがベターな選択でしょう。
一番やっかいなのは、
うつ病の標準治療で使用される、
精神安定剤をやめることです。
精神安定剤でうつ病になる?
そもそもうつ病の治療薬でうつ病になるとは、
アタマがおかしいと思われそうですが、
気づいてしまったのですから仕方がありません。
安定剤が過剰になると、副作用として、
抑うつ、
全身倦怠感、
思考力・判断力の低下、
意欲の低下、
食欲の低下、
などが顕れます。
嘔気・嘔吐もありがちです。
頭痛をきたすこともあります。
表情が乏しくなったり、
力が入らなくなったり、
声が小さくなったりもします。
これらの症状を呈する場合、
うつ病と誤診される可能性がかなりあります。
それもそのはず。
薬剤惹起性うつ病ですので、
誤診と言うには、厳しすぎますよね。
要するに、
安定剤が過剰に使われると、
うつ病によく似た症状が出るし、
うつ病の治療薬として安定剤が使われていて症状が重くなった時には、
過剰でこうなっているのか、
うつ病そのものが悪化したのか、
前述のうつ病らしい症状を聞いただけでは正直判断できません。
抗うつ薬が併用されていない場合
ストレス関連障害や、
認知症の治療で使われている薬剤が原因で、
薬剤惹起性うつ病になっているようなシチュエーションの場合です。
抗うつ薬は併用されていない想定です。
これは、原因になっている薬剤を(安定剤とは限りません)減らすかやめるかして、
薬剤性惹起性うつ病を治しましょう。
離脱症状が出た場合は、
それぞれ対処しましょう。
抗うつ薬が併用されている場合
前述しましたが、そもそもうつ病の治療中に
薬剤惹起性うつ病になった場合、
ちゃんと診断できるのかも微妙です。
がしかし、ちゃんと診断出来たと仮定して、こんどはかなりの確率で抗うつ薬を使っているでしょうから、
抗うつ薬を併用している想定で話を進めます。
説明の都合上、
原因薬剤は安定剤だとしましょう。
これはもう、現実問題としては、
大変厳しい状況だと言えます。
この状況だと、
安定剤と、
抗うつ薬は、
つねに綱引きしてバランスをとろうとしている状態です。
そのため、安易に
安定剤を減らすと、
抗うつ薬の作用が突然強くなって、さまざまな問題が起きる可能性があります。
若い頃、私はこのシチュエーションの解決に力を注ぎましたが、
あまりの難しさに、現在は完全に別なプローチをとるようになりました。
それは、こんなことになってしまうくらいなら、
うつ病の治療にはそもそも
抗うつ薬を使わないという戦略です。
私のことをよく知っている方は、
抗うつ薬を私が処方しない理由の一端を、
このことから一層理解していただけるでしょう。
ともあれ、この記事は薬剤惹起性うつ病の治し方なので、
抗うつ薬が邪魔してどんなに困難でも、
うつ症状がなんとか収まるように、悪戦苦闘するよりないでしょうと申し上げておきます。
安定剤は、増やすのではなく減らすようにしないと、
薬剤惹起性うつ病はよくなりません。
抗うつ薬の
副作用出現に注意しながら、バランスをとりつつ、根気強く治療しましょう。
もしもバランスを保つ上で、
抗うつ薬も減らさざるを得ず、
離脱症状が出てしまったら、
抗うつ薬の離脱症状たるや、
安定剤のそれと比べものにならないくらい、対処が大変ですが、なんとか乗り切りましょう。
どうやら途中から完全に同業者に向けたエールになってしまいましたね。
患者さんの側で勝手にいろいろ薬を減らしたり増やしたりするのは、
危険ですから絶対にやめてください。
主治医にやってもらってください。
最後に
他の医師が処方した抗うつ薬に、私は責任を持てません。
以前は他院の引き起こした問題の解決に取り組んでいましたが、
あまりにしんどいので、現在は遠慮させていただいております。
いちど前線で闘ったことのある治療者にしか、
絶対にこの大変さのすべてが分かるわけがないと思いますので、
なぜいまも取り組まないの?とか、
あんたそれでも医者か?とか、
そういう批判は勘弁していただきたいと思います。
私はそういう前線で、
ちょくちょく患者さんに罵られながら、
他の医者の尻拭いを10年以上もしてきたので、
もう十分。
役割は果たしたと自負しています。
今後は、そもそも抗うつ薬を使わないほうがベターなのではないかと、啓蒙する仕事を医師として続けていく考えです。
同じエネルギーなら、そちらに注ぐことに決めました。
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